[ポッドキャスト連携] #6 有害な男らしさって何? [記事和訳+解説]
みーとさいたまの英語でダイバーシティーのエピソード6で取り上げた記事の和訳と英語解説です。
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#6 有害な男らしさって何?
記事のリンク:
What are the top 10 Toxic Masculinity behaviors?
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[カップルポッドキャスト]みーとさいたまの英語でダイバーシティー[英語学習]
記事和訳
有害な男性性トップ10
男らしさの典型的なイメージが悪影響を及ぼしたり野心的になったりしたとき、それは有害な男性性になります。標準的な男らしい態度を取らないことで、また逆に男らしい態度を賞賛することで有害な男性性は達成されます。
ストイックになること
男性は絶えず「自立・独立していて身体的に強靭であること」を求められています。そうあることがビジネスで、社会で、またパートナーを見つける上で成功する方法だと刷り込まれているのです。か弱いことは嘲りの対象になります。
誰とでも関係を持つこと
たいていの場合、男性は性的に活発だと他の男性から褒め立てられます。男女の乱れた性生活に対して、男性は仲間から褒めそやされ「精力的な種馬」と呼ばれる一方で、複数のパートナーを持つ女性は否定し「ヤリマン」と貶すのは、よく知られたダブルスタンダードです。
異性愛を絶対的な普通のこととして擁護すること
伝統的な男性のステレオタイプから逸脱しているという理由で、多くの男性は同性愛にネガティブに反応するようにプログラムされているようです。人気のレトリックを通して、また、幼少期から身につけていくジェンダー観によって、同性愛とは男らしくないことだという考えを仕込まれています。
暴力的なこと
統計上、男性は暴力的な罪を犯す確率が女性よりもはるかに高いことがわかっています。これには理由がたくさんありますが、男性が暴力をけしかけることと、男らしさや男性性を支える自尊を証明するために男性が攻撃性や暴力を使う必要があるという思い込みには明らかに相関があります。
支配的であること
言葉の暴力や身体的な暴力、オンラインでの誹謗中傷など、他人を傷つけるに及ぶまで力や支配に没頭すること。ある研究によると、男性の4分の1以上がパートナーと物事を決めるとき最終判断を下すべきだと考えており、3分の1以上が自分の女性パートナーがどこにいるか常に知る権利があると信じているそうです。
女性への性的攻撃性
有害な男らしさ規範を信じる男性はたいてい、性的なコメントやジョークを女性に言ったり、セクハラをしたり、レイプ神話を受け入れたり、女性の体を支配する権利を持っているような態度をとります。
感情を見せないこと
感情的になるのは女性的だとみなされ、感情を抑えることが真の男らしさだと考えられています。幼少期から、男性は弱くて女々しいとされる感情表現を見せるのは恥ずかしいと思い込んでいます。
フェミニスト軍団にはならないこと
過度な男らしさがフェミニストだと自認する男性を拒否するのは驚くことではありません。ある研究では、フェミニスト運動に参加する男性は、女性的であり有害な男性性の規範に従っていないと解釈されるため、有害な男らしさを主張する男性によるハラスメントのターゲットになりやすいのです。
リスクをとること
男性の支配性に関連し、有害な男らしさは支配力を示すためリスクをとることを推奨します。この傾向を持つ男性は、暴力や危険運転をしたり、ギャンブルしたり、ドラッグを使ったりと言った極端な方法を取ることも多々見られます。
家事や育児に参加しないこと
繰り返しになりますが、家事や育児は女性的だとみなされます。家事などの女性的とみなされる仕事をやるように言われたり、もっと悪いことに、きちんと掃除していないことを女性に批判されることは、しばしば女々しく感じさせるための攻撃と解釈され、男性的な過剰な反応を引き起こします。
英語解説
double standard
日本語では「二重規範」。でも最近はそのまま「ダブルスタンダード」と使われていることも多い気がします。
私が愛用している英英辞書、Merriam-Websterによると
a set of principles that applies differently and usually more rigorously to one group of people or circumstances than to another
とあります。
似通った事象への価値判断の基準が対象によって変わること、という意味です。めちゃアンフェアです。
日本ではよく政治や金融のニュースなどで聞くことが多い言葉だった印象がありますが、英語でダブルスタンダードを調べると、例としてよく男女の性の乱れに対する評価について取り上げられています。今回の記事でもそうでしたね。
人が性的に活発なとき、男性だと褒められたり羨ましがられたりして特別ネガティブには取られない一方で、女性だと陰口叩かれたり貶されたり。
これこそダブルスタンダードです。
私の個人的印象としては、男性であっても人によってはネガティブに取られることも多々あったような気がします。確かに女性がポジティブに捉えられる例は聞いたことはありません。どちらにしろ、性別とそれに対するジャッジメントは関係ないかなと思います。
studs and sluts
スラングを調べるにはUrban Dictionaryでしょ!ということで、それぞれ調べてみました。
stud:
A sexy, gorgeous, cool, badass man dude who every girl wants to have sex with.
すごいほめ言葉!(でも、Urban Dictionaryでstud調べたら何通りも意味があって少し混乱しました)
slut:
A derogatory term to describe a woman that is sleazy and will have sex with anyone or sometimes anything.
誰とでも何とでも(?!)寝るだらしない女性という意味です。
基本誹謗中傷になりますが、文脈によっては友人同士で使ったりもします。
例えば、露出度が割と高いドレスを着て出かけたとき仲のいい女友だちから「You look slutty!(にやにや)」と言われたことがあります。
have the final word
finalをlastに置き換えてもOK。
議論などで「最終的な決断を下す」という本来の意味から転じて、「最終決定権を持つ」とい力関係に関するイディオムとしても使えます。
男女の関係で、何事も決めるときには男性が決定権を持つのが当たり前と考えていることが、記事で出てきた有害な男性性の一例に挙がっていました。
emasculate
Merriam-Websterでの記載は以下の通り。
1: to deprive of strength, vigor, or spirit : WEAKEN
2: to deprive of virility or procreative power : CASTRATE
3: to remove the androecium of (a flower) in the process of artificial cross-pollination
2番目の意味の類語として挙がっているcastrateは去勢するという意味がある単語です。
軟弱にする、男らしさをなくす、弱体化するという意味で使われます。
私は意訳して「女々しく感じさせる」としました。
記事を読んで
重要なのは、典型的な「男らしい人」であることが悪いわけではないということですね。
問題は、そうではない男性を否定したり、こういった男らしさが当たり前だと押し付けてくること、男らしくないと思うことは一切しないという態度がある場合だと思います。
こういった要素を取り入れるのは育った環境なんだろうな。
どんな人でも記事に上がっているような考えを大なり小なり持っていることもある思いますが、なんでも度がすぎると有害になりえます(セクハラはどんなにちっちゃくてもダメですが)。
さいたまくんだって、私からすれば「(負の)感情を見せない」人です。
「男性が何かに悩んでそうだったらとりあえずそっとしておけ」とはよく言われますが、私はそれが正しいとは思えません。それがたとえ些細なことでも実際にはメンタルヘルスを損なう原因になってしまったらそれこそ大きな問題です。
「男性だからしっかりしなきゃ」と思い込んでるパターンも往々にしてあるので、その思い込みを取り除くためにも繰り返し話すのは有効だと思っています。
さいたまくんには普段から何か悩みがあったら必ずシェアしてくれるようにお願いしています。これがなかなか難しいんですがね…
記事で挙がっていたような極端な態度を取る男性は、幸運なことに私の身近にいません。
育ってきた中で一番身近な男性は父でしたが、料理も掃除もするし子どもの頃たっくさん遊んでくれた今考えるとすてきな父親でした。2人の祖父もとってもソフトな人で、姉の旦那さんたちもやさしい。さいたまくんもさいたまくんの家族も有害な男らしさを体現してる人が皆無。
やっぱり育った環境が関わってくるのだろうなと思います。
男女関係なく、ジェンダーステレオタイプな態度や行動を子どもには期待してはいけないですね。
この記事を読んでいて、興味深く読んだ男性性に関する本を思い出しました。
著者は、女装を趣味とする異性愛者のイギリス人男性です。彼は有害な男性性を取り込んで育ってきたみたいですが、そこから解放されて男性性について考察しています。
仕方ないのですが、訳書なので日本語がとても読みにくかったというのが正直な感想。英語で読める人は原書をおすすめしたいところ。
気になる人は読んでみてください:)
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