[ポッドキャスト連携] #5 トランプ大統領が見せる有害な男らしさ [記事和訳+解説]
みなさんこんにちは、みーです。
みーとさいたまの英語でダイバーシティーのエピソード5で取り上げた記事の和訳と英語解説です。
ポッドキャストのエピソードリンク:
#5 トランプ大統領が見せる有害な男らしさ
記事のリンク:
Trump obsesses over ‘dominating’ covid-19 because he wants to look manly
ポッドキャストの詳細:
[カップルポッドキャスト]みーとさいたまの英語でダイバーシティー[英語学習]
記事和訳
男らしく見られたいがためにコロナウイルスを「支配」することにこだわるトランプ
この世界観によると、感染予防はウイルスに「屈する」ことになるらしい。
月曜夜、コロナウイルス治療のため3日間入院したウォルター・リード国立軍医療センター退院直後、トランプ大統領はホワイトハウスのバルコニーに立ちマスクを外した。息がしづらそうに見えたが、ウイルスに屈していないことと強調したかったようだ。大統領はその日の午後、「ウイルスに生活を支配させるな」とツイートしていた。
自称潔癖症の大統領は、死に至る可能性もあるこの感染病を、支配するか支配されるものだという考えを露骨に示した。エッセンシャルワーカーであるか、リスクの高いグループか、慢性的な持病があるか、単純に不運だったかは関係ない。病気は弱さで、病に屈服した人は虚弱でみじめでさえあるらしい。反対に、病気を克服した人は強く、精神的に立派なのだ。この考え方は有害な男性性の必須要素で、これは個々の男性だけでなく彼らの周囲の人々も悩ませ状況を悪くする。
歴代の大統領たちは、長い間自分たちの健康状態を見くびり、健康状態を肯定的に表現してきた。しかし、トランプ大統領はことさら肉体的に頑丈に見せることに不条理なまでにこだわっているようだ。彼の「ショー」の裏で人々が危険にさらされていようと関係ない。日曜夜、トランプは病室を抜け出し、病院の外に集まったサポーターのグループに手を振るために車を出させた。医師の落胆をよそに、この宣伝行為に関わった全員をリスクにさらした。同様に、月曜にトランプが見せたマスクを外すというパフォーマンスは彼の自信を強調し、すでに危険にさらされてきたスタッフへの感染リスクをさらに高めた。ホワイトハウス関係者は「大統領は、何千人ものスタッフやサポーターを危険なウイルスにさらしたという恥ずべきニュースを避けようと気をもんでいた。私たちに何の情報も与えず、結局私たちの家族がその代償を払わなければならない。ただただ自己中心的だ」とAxiosに語った。
トランプの有害な男性性は見るに明らかだが、回復によって自分が征服のヒーローになり今まで以上に強くなったと繰り返される主張にもそれは現れている。一方で、高リスク層はますます命の危機にさらされ続ける。トランプはツイートで「無敵のヒーロー」製造中と言って自分自身を持ち上げた。ホワイトハウスに戻ったときの動画クリップでは、病に「立ちはだかった」と述べた。「リスクがあるってことも、危険だってこともわかっている。でも大丈夫だ。もう回復したし、たぶん免疫がついた、わからないけど」(わかっていないし、主治医によるとまだ完治さえしていないそうだ)
トランプにとって、この有害な男らしさいっぱいの理想像にしがみつくことがまず重要なのだ。また、あたかもパンデミックを心配することが不合理(大統領の義理の息子によると「ヒステリック」)だとでも言うように、アメリカ国民にコロナウイルスに「支配させるな」と主張することもかかさない。ニュート・ギングリッチは「アメリカは気弱な臆病者の国ではない」とDaily Beastに語った。このFoxのニュースコメンテーターは、続く経済閉鎖を「気弱で心配性な、家から出てこようとしない老人や神経質な人」のせいだと責めた。
この超男性的世界観からすると、科学的根拠に基づいた利益ある行動様式の変化や通常活動の制限は、受け入れがたい「後退」を意味する。コロナウイルスへの感染や伝染に対する予防行為は、なぜかウイルスが勝つことを許していることになるらしい。前副大統領のジョー・バイデンがマスク姿の画像をツイートしたとき、保守派コメンテーターのトミー・ラーレンは「ジョー、マスクと一緒にクラッチバッグも持ったらどう?」とからかった。(明らかに、何が「正しい」男らしい態度なのか心に抱くのは男性だけではないのだ)この概念によると、マスク着用やその他の人を気にかける全ての行動は女性的で、そのため男性がもつ性質としては軽蔑に値するものなのだ。ラーレンのこの言葉は、9月30日の気の滅入るディベートでの気の滅入るエピソートの気の滅入る残響でもあった。トランプが「ジョー・バイデンみたいにマスクは着ませんよ」と言ったのだ。「彼に会うといつもマスクを着けている。60mも離れて話してたってそうだ。みたことないくらいでかいマスク着けている」どうやら、みじんも気遣いをしない人が最も無責任なリーダーとはならず、最強の男で、最も怖いもの知らずのリーダーとなるらしい。
トランプ政権はその無能力さだけではなく、頑固さを美徳とする大統領の有害な男性性イデオロギーのせいで、この国でウイルスが猛威を振るうのを黙認した。行き詰まった男らしさが、感染症を否定すること、自身の脆さにしてもアメリカ国民の脆さにしてもそれを真剣に考慮することを否定することに加勢している。「本物の男」が何を意味するにしても(本来価値があるかどうか疑わしいコンセプト)、この時代に有害な男性性を具現化することは、コミュニティーを守り尽くすことに必要な真の強さとは全く関係がないことは明らかだ。実はそれは弱さであり、人間の脆弱性を認められないおびえであり、周囲の人を危険にさらす最悪のプライドだ。
英語解説
submit
submitは誰でも知ってる英単語ですね。ずばり「提出する」という意味でみんな使っていると思います。
でも、記事での使われ方(you “submit” to the virus.)から、「提出する」ではないことがわかります。
英英辞書のMarriam-Websterを見てみると、下の意味が書かれています。
to yield to governance or authority
out of the woods
直訳は「森から出る」になるこのイディオム。
out of difficulties, danger or troubleと言い換えることができます。
つまり「困難・危険・トラブルから脱する」ということ。
翻訳では文脈から意訳して「まだ完治していない」という表現にしました。
scaredy cat
調べてみると、scaredyというのは「臆病な」という意味のあるイギリス英語。
でも、このscaredyを単独で使うことはなく、常にcatとセットで使います。
scaredy catの意味は「someone, especially a child, who is easily frightened」、つまり「臆病者」ですね。
文脈によっては「ビビリ」とかでもよさそうです。
machismo
まずMarriam-Websterの意味を引用します。
Definition of machismo
1: a strong sense of masculine pride : an exaggerated masculinity
athletes displaying their machismo
2: an exaggerated or exhilarating sense of power or strength
the administration's machismo in pushing for a new treaty
黄色でハイライトしたとおり、machismoは単なる「男らしさ」ではなく、「行き過ぎた」「大げさな」といったニュアンスが込められた男らしさ・強さという意味があります。
この単語が使われているときは、ネガティブな意味で「男らしさ」が語られているときと思ってよいでしょう。
記事を読んで
この記事を書いた記者は、アメリカでウイルスが蔓延していることに激怒してるみたいですね。そりゃそうか。
あとトランプがだいきらいだということが火を見るより明らかな文章。
記事では、トランプのウイルスに対する言動は有害な男らしさから来るものとしていました。
でも、私としては、トランプがウイルスに「屈するな」「回復した自分はヒーロー」といった態度を取るのは、大統領個人の有害な男らしさというよりも、あくまでも政策の一貫、パフォーマンスだったのではと思いました。
経済への影響を最小限にするために、です。
(結果、自由を制限されることに慣れていない国民性も相まって、散々な結果になっているのは周知の通り)
もちろん、部分的にはトランプ大統領の性格が影響してああいった言動になっているのでしょうが。
あと、保守かリベラルかどうかは関係なく、記事中に出てきたトランプや義理の息子の言動や保守系コメンテーターのコメントはただただ「ばかなの?」という感想です。
カナダや日本でだって、経済優先・安全優先の議論は起こっていますが、マスク着用や感染予防を政治家や全国メディアのコメンテーターがばかにしたりからかったりするなんて、アメリカはある意味レベルが違います。
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