[英語ニュース翻訳] #20 パワハラ総督とトルドーの任命責任 [ポッドキャストでリスニング]
みなさんこんにちは、みーです。
毎週月曜日、さまざまなメディアの記事を取り上げながら北米の多様性を考えるカップルポッドキャストを配信しています。
◎北米で話題になっているトピックを知れる
◎クリアなカナディアン英語でリスニング強化できる
◎日本語で説明つき
◎ベトナム系カナダ人(ネイティブ英語)x日本人(なまり英語)の国際カップルゆるゆるディスカッションが聴ける
こんな感じでおすすめです
お使いのポッドキャストのプラットフォームで「みーとさいたまの英語でダイバーシティー」と検索したら出てくるので、よかったらゆるーく聞き流ししてみてくださいYouTubeにも上げてます。
ピックアップ記事
◎メディア:The Globe and Mail
◎記事:Payette’s tragic appointment wouldn’t have happened under Harper’s system
エピソード20で取り上げるのはカナダ時事です。
カナダ総督(エリザベス女王代理の役職)を務めていた元宇宙飛行士のジュリー・ペイエットが辞任に追い込まれました。総督府でスタッフに怒鳴る、クビをほのめかすなどのパワハラ的な態度を告発され第三者委員会が調査した結果真実と認められたためでした。
実は彼女、総督になる前の2つの職場でも、パワハラを訴えられていたそうです。彼女を総督にと女王に推薦したトルドー政権は、選定委員会を設置せず独自に彼女を候補者として推薦していました。その任命過程の不明瞭さと調査不足を指摘しているThe Globe and Mailの社説を今回は取り上げます。
パワハラ、任命責任、日本でもよく聞く言葉ですよね。今回の出来事と実際にそういう場面に直面したらカナダではどう対応するのかというところもポッドキャストではさいたまくんとお話しました。
記事和訳
前ハーパー政権では起こり得なかったペイエットの任命という痛恨のミス
ジュリー・ペイエットのカナダ総督辞任は悲劇だ。国民に誤解されがちな総督府にとって悲劇だし、ペイエット氏が管理するリドー・ホールに漂うよくない空気を物語る報道が彼女の評判をズタズタにし、本人にとっても悲劇だ。
首相がペイエット氏に代わる新しい総督を女王に推薦するまで、カナダ最高裁判所長官のリチャード・ワグナー氏がカナダ総督府で国の管理責任者として代理を務める。
本来なら、こんなことは起こるはずではなかった。そこが今回の一連の出来事で最大の悲劇かもしれない。スティーヴン・ハーパー前大統領とその保守政権について国民がどう思おうと、前政権はカナダ総督と各州に置かれる副総督の候補者選定と調査のための真っ当な仕組みを築きあげたのは確かだ。この仕組みは、新しい元老院議員の任命方法にも適用されたほど官邸職員に受け入れられていたにも関わらず、トルドー政権により否定された。代わりに、水面下でどのように選ばれたのか誰にもわからないまま決められるという古い仕組みに逆戻りした。この仕組みがうまくいかないと、準備が整わないまま任命された候補者自身や国全体に影響を及ぼし、首相の顔に泥を塗ることになる。
イギリス議会風のカナダ政治において、総督はカナダ首相により推薦され国家元首によって正式に任命される。どう候補者を選定するかは現役の首相に一任されている。かつてもむらのある選定があったものの、古い仕組みでも素晴らしい総督が選ばれることもあった。ヴィンセント・マッセイやジョルジュ・ヴァニエ、ローランド・ミッチナー、エイドリアン・クラークソンはそれぞれがあらゆる意味で優秀だった。
ハーパー氏は女王代理の任命に真剣に取り組み、古い仕組みは元政治屋を任命する傾向が強いとして別の方法を採用した。以下がその仕組みだ。まず、カナダの女王秘書官邸が総督選定委員会の終身委員2名を任命する。それに加えて、委員会に欠員が出たとき、総督府といずれかの州から追加で2名が委員として任命される。州の場合地元から候補者は選定され、総督府の場合、適切に国選の任命が行われる。
その後、女王秘書官がリーダーとなり、委員会は候補者5名を選定し首相に推薦する。この5名は候補者として選定される前にくまなく調査される。こうして、デイヴィッド・ジョンストンは総督になったのだ。また、総督として評価され今でもオンタリオ州の副総督として務めるエリザベス・ダウズウェルも同じ方法で選定された。この調査過程で、委員会の委員は州や国外に出張し調査の一環として教育機関や公共機関、社会奉仕団体、教会、ビジネスセンター、慈善団体などを訪問できる。
こうすることで、適切な候補者を絞り込むだけではなく、委員会が総督の役割を一般市民に説明する機会ともなり、国民への啓蒙という一面にもなっていた。著者はオンタリオ州副総督選定委員会の委員だったが、存命であることという任命条件が理由で、首相が女王にティム・ホートンを推薦することはできないと説明するハメになり、中学生をがっかりさせてしまったことをよく覚えている。女王の誕生日にティム・ホートンのドーナッツが無料になることとは何も関係がないのだ。
当時、ペイエット氏を総督として任命するのが賢明のように思えたのは理解できる。彼女に関する公の情報すべてが文句の言いようがないものだった。彼女は聡明な宇宙飛行士というまさにスターで、しかもフレンチカナディアンだ。きちんと対処されていなかったのは、a)先住民との和解政策に焦点を当てるという新しい重要な役割があり、憲法上どれほど重要で扱いにくい役職なのか、また、b)そういった役割が大体つまらないものになりえるか、という説明だ。特権の多くはあやふやで24時間警備員と一緒、家庭と仕事の間で次々に代わる面々と礼儀正しく会話をしなければならないとしたら、誰だって相手に向かって叫びたくもなるだろう。
こんな重要な役職の候補者を委員会の推薦なしで見つける仕事なんて、どんな首相だってやりたくないはずだ。選定委員会は首相官邸を守る役割となり、適切な候補者が検討されていることを国民に保証する。審査過程を改善する必要があると述べたジャスティン・トルドーは今頃苦虫を噛んでいることだろう。
英語解説
Governor-General
総督という意味。カナダ国家元首(現在はエリザベス女王)の代理を務める国の役職です。
vice-regal
総督のという意味の形容詞。
記事ではハイフンが入っていますが、なくても問題ないみたいです。
lieutenants-governor
副総督の意。副総督はカナダ各州に置かれる役職です。
lieutenantという単語は、警察ものや軍隊もののアメリカ映画やドラマにしょっちゅうでてきます。というのも、職位だからですね。
副官・補佐官というのが基本的な意味ですが、警察だと警部補、消防だと副隊長、軍隊だと中尉・少尉などとなります。
PMO
The Office of the Prime Ministerの略、日本で言うと首相官邸(首相と内閣スタッフが働く職場の意で)ですね。
behind-closed-doors
文字通り「密室で」という意味ですが、つまり「水面下で、秘密裏に、こっそり、人目を憚って」といった意味で使われます。
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